除去加工の一つ

研磨加工は細かい砥粒で表面を平らにする加工で、工学的には除去加工の一つです。一般的に「研磨」と言った場合、表面を美しく整える狭義の研磨加工と、表面を極めて平らに仕上げる研削加工の2種類を指しています。

研磨加工の種類

円筒研磨

円筒研削盤により、ゆっくり回転する円筒の表面に高速で回転する砥石を当てて表面をわずかに削り取っていきます。同じように中空の円筒(パイプ)の内側に回転する砥石を当てる内面研磨もあります。どちらも、シャフトや軸受などの回転部品の動作を滑らかにするために行われる加工です。

平面研磨

平面研削盤により、材料の表面を究極の平面に仕上げていく加工です。材料を固定した台座を左右に往復運動させ、中央で高速回転する砥石に少しずつ当てていく仕組みの研削盤が一般的です。このほか、材料を固定した台座を回転させながら砥石に当てる方式もあります。

 平面をきちんと正確に作る技術は、ものづくりの基礎ともいえます。半導体製造装置や工作機械など、精密な仕事をする産業機械は台座を極めて正確な平面にする必要があり、片面研磨が重要な役割を果たしています。

ラップ研磨

 ラップ研磨は、加工したい部品を円盤状の定盤に並べ、ごく細かい砥粒を含んだ液体の研磨剤をかけて上定盤と下定盤ではさみ、圧力をかけながら回転させます。部品の表面が高度な平面になるだけでなく、部品の表面と裏面が極めて正確な平行度を持ちます。このため、流体を扱う回転機器のシールリング部品などの加工に使われています。

その他の研磨

 表面を鏡面仕上げにして美観を整える研磨加工では、フェルトなどの柔らかい素材に研磨剤を含ませて磨く「バフ研磨」が使われます。逆に「バレル研磨」は、切削加工後のバリ取りなど、粗い研磨加工の方法です。このほか、部品を電解液につけて電気を流し、出っ張りを溶かす「電解研磨」などの加工方法があります。

研磨の魅力と難しさ

 研磨加工は、1000分の1mm単位の超高精度な加工を実現したり、美しい外観を実現する魅力的な加工です。それだけに難しい加工で、研削盤の性能だけでなく、研削盤を動かす担当者の経験やノウハウによって仕上がりに大きな差がつくことがあります。

 特に円筒研磨や平面研磨では、ベテランの担当者は加工する部品の表面のごく小さな凹凸を観察し、マジックなどで印をつけてから研削盤にセットし、マジックが消えていく様子を見ながら研削盤を微妙に操作するといったノウハウを持っています。
 三陽機械製作所は、大手産業機器メーカーの流体部品を70年担当するなかで、高度な研磨/研削のノウハウを積み重ねてきました。ラップ盤を保有するなど各種の研磨/研削機器もそろえており、部品に求められる特性に合わせた研磨加工を提案しています。